こんにちは!
国税職員OBのSHOです。
突然ですがみなさん!
この図が何か理解できますか?
みなさんに一番馴染みのある税金は「所得税」だと思いますが、「所得税」はどのように計算してるのかご存知でしょうか?
その所得税の計算方法を、表現しているのがこの図になります。
ちなみに私はこの図のことを『所得税の公式』と呼んでいますので、『所得税の公式』と出てきたらこの図を思い出して下さいね♪
この公式さえ理解していれば、所得税をマスターしたようなものなので、所得税が分からなくなったら、直ぐにこの公式に戻り、どこの場所が分からないか当てはめて下さい!
話を戻しますが、所得税というものは、サラリーマンであれば、毎月の給料から勝手に天引きされていますし、個人事業主の方でも、税務署で相談したり、税理士に任せっきりだと、どのように税金を算出するか知らない人が多いと思います。
そこで今回は、個人事業者の方向けに、所得税の計算方法を誰でもわかるように図を用いて解説しようと思います!
この記事を読めば、所得税の計算方法を理解し、さらに、税金の仕組みが分かることで、どのようにすれば節税になるのかを自分で判断できるようになるので最後まで読んで下さいね!
そして、この記事を読み終える頃には、先ほどの『所得税の公式』が理解できるようになり、所得税をマスターしているはずです笑!!
ちなみにサラリーマンの計算方法はこちらの記事を!
目次
そもそも所得税とは!?
所得税は個人の「所得」(利益)に対して課される税金なので、「所得」税と言います。
売上や収入に課される税金ではないので、売上税や収入税とは言わないですよね☺️
所得税は、1月1日~12月31日までの1年間に得た所得から、様々な所得控除を引いた残り(課税所得)に対してかかってきます。
そして、所得税は「国税」の代表例で、法人税、消費税、相続税などと同様に国に納める税金です。
❇︎ちなみに住民税は「地方税」なので、各自治体に納めます。
今の説明を聞いただけでも難しそうな所得税ですが、計算の仕組みさえ理解すれば、色々な節税制度を使いこなし、余計な税金を払わなくて済みますので、マスターできるよう頑張りましょう🇯🇵
所得税の計算4つのステップ!!
所得税を算出するまでには、大きく分けて4つのステップがあり、『所得税の公式』を4つに分解することができます。
これから説明していきますが、その前に、具体的な事例を挙げて説明した方が分かりやすいと思いますので、次の事例を見て下さい。
・売上は年間700万円で経費が合計200万円➡利益500万円。
・社会保険料(国民健康保険と国民年金)を年間50万円払っている。
・家族は奥さんと2人で奥さんを扶養している。*奥さんは専業主婦
・今年は奥さんが入院したので医療費が20万円かかった。
それではそれぞれのステップに分けて解説していきます。
ステップ1 収入から所得へ!
ステップ1では、「収入」から経費を差し引き「所得」を計算します。
「収入」と「所得」は一見同じ意味のように思えますが、税金の世界では全くの別ものです。
例えば、大学生が奨学金を申し込む際に、親の「収入」や「所得」基準を設けていることがありますよね。
「収入」と「所得」を同じ意味だと、捉えてしまうと奨学金が受けられないケースもでてきますので、しっかり理解して下さいね。
「収入」と「所得」の違いを今回の事例の数字を使って説明します。
個人事業主の場合の「収入」は一年間の売上(年商)に当たります。
今回の場合ですと700万円ですね。
次に「所得」は、「収入」の700万円から経費の200万円を差し引いた残りの利益部分の500万円です。
経費というものは、事業内容によって様々ですが、ラーメン屋だと、材料代・人件費・広告代・水道光熱費・雑費などの、事業を行う上で絶対に必要な出費になるものです。
つまり、「収入」は売上で、「所得」は売上から経費を引いた利益部分ということです。
このステップ1は本当に大事です。
なぜなら、基本的に税金が課されるのは『収入』にではなく、『所得』にだからです!
ここを勘違いしている方が多いかなと思います。
ただ、利益に当たる「所得」にそのまま税率をかけるのではなく、所得からさらに差し引くことができる控除がありますので、次のステップ2で解説していきます。
ステップ2 所得から課税所得へ!
ステップ2では、「所得」から「控除」を引いて「課税所得」を計算します。
「課税所得」とは、その名の通り税金が課される「所得」になります。
では、なぜ「所得」から差し引くことができるのか?「所得控除」とはなにかを解説します。
同じ所得の人であっても、家族を養っていたり、医療費が多くかかったなど、様々な事情を抱えている人と、そうでない人では、お金の余裕が全然違いますよね。
基本は何度も言いましたが、「所得」に税金がかかってくるのですが、諸事情がある人には税金を優遇してくれます。
それが、「所得」から差し引くことができる「所得控除」というものです!!
(注)ステップ1の経費とは全くの別物ですので間違えないようにして下さい。
今回の事例で説明します。
諸事情を見てみますと、社会保険料の支払い・奥さんの扶養・医療費が高額の3点ですね。
社会保険料は支払った金額がそのまま「控除」になるので、50万円。
奥さんの扶養は、奥さんの「所得」にもよりますが、専業主婦の場合は38万円が夫の「控除」になります。
医療費控除は原則10万円を超えた部分が「控除」になるので、20万-10万=10万円が控除になります。
医療費控除の詳細はこちら👇
そして、諸事情の人だけに優遇されるのでは不公平なので、誰でも一律38万円の「基礎控除」が受けれることになっています。
今回の場合の「控除」の合計額は、136万円となります。
「所得」500万円から、「控除」の合計額を差し引きます。
500万円-136万円=364万円が「課税所得」となり、これに税率をかけます。
ステップ3 課税所得から税額へ!
ステップ3では「課税所得」から所得税を求めていきます。
「課税所得」まで計算できたら後は税率をかけて税額を算出しなければなりません。
皆さん一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、日本は累進課税制度を採用しています。
そのため消費税のように一律10%ではなく、「課税所得」によって税率が変わってきます。
こちらの表をご覧ください。
このように「課税所得」が大きくなるにつれて税率も高くなります。
今回の場合、「課税所得」は364万円なので、税率は20%になります。
ここで一つ疑問がでてくると思います。
右側の控除額とはなにか?
ステップ2の「所得控除」とは全くの別物ですが、これは一体なんだろうか?
そもそも、所得税は累進課税だと説明しましたね。
今回の場合ですと。税率が20%ですが、364万円全額に20%をかけて、終わりでなくそこから二重に引かれている税額(控除額)を引きます。
具体的にどうするかというと、364万円あるうちの195万円までは税率5%、195万円超から330万円までは税率10%、330万円超から364万円までが税率20%となります。
今回の場合ですと、195万の5%は97,500で、330万の10%は33万で97,500+33万は427,500になります。
ただ、このように分けて計算するのは面倒なので、先ほどの表のように控除額を計算してくれているのです。
よって、「課税所得」364万円に20%をかけて控除額の427,500を差し引きます。
364万円×0.2-427500=300,500が今回の事例の所得税になります。
(注)2037年まではこの所得税に復興特別所得税2.1%が上乗せされます。
ただここで、計算方法だけを紹介しても、みなさんの役に立たないと思いますので、節税のポイントをご紹介します。
何度か言いましたが、日本の所得税は累進課税制度ですので、稼げば稼ぐほど税率は高くなります。
しかし!!
税率の基準となるのは「課税所得」です!
つまり、「収入」がどんなに上がろうが、最後の「課税所得」を低く抑えることで、税金が安くなるのです。
勿論脱税は絶対にいけませんが、様々な節税制度を駆使して、余分な税金は払わないようにしましょう。
ステップ4 税額控除
ステップ4では、所得税から直接差し引くことができる税額控除について解説します。
今回の事例では、出てきませんでしたが、例えば住宅を新たに取得した際にローンを組むと住宅ローン控除が受けられます。
それは、税額控除といって税額(今回であれば300,500円)から直接差し引くことができるのです。
所得を下げることが節税に繋がる!
これまでの解説で所得を下げることがいかに重要かご理解いただけたかと思います。
このブログでは、所得を下げる節税方法などをこれからも発信していきたいと思います。
また、税金に限らず、お金にまつわる金融リテラシーもお伝えしたいと思います。
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それは青色申告です!!
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こちらの記事では青色申告の基本的な事やメリット、専門知識ゼロでも帳簿作成などができる『裏ワザ』をご紹介していますので、是非読んでみて下さい。
所得税の計算方法を終えて!
所得税について考えるときは、冒頭の『所得税の公式』を思い出して下さい。
本当にこの公式をしっかり分かっていれば『節税脳』が磨かれるので、新しい自分だけの節税方法が見つかるかもしれません。
良い節税方法があれば是非私にも教えて下さいね🤣