個人事業主の家族の皆さん(特に奥さん)!
事業主であるお父さんの事業の経理をしたり、領収書集めたり、特に年末を過ぎると確定申告に向けて大忙しになると思います。
お父さんの事業を手伝ってお金を貰えたとしても、家族内でお金が動いてるだけで何も意味がありません。
お父さんが会社員であれば、そのような面倒な事務作業はないのに、個人事業主であるばっかりに、、、、
それならせめて、その事務作業が何か意味のあるものにならないかと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回!!
奥様に限らず、家族へ支払うお金を事業の必要経費にできる制度『青色事業専従者給与』をご紹介します!
この記事を読めば、家族に支払う給料を全額経費にする方法がわかるだけでなく、その制度の注意点や、利用するために必要な提出書類の書き方を知ることができます。
この制度をうまく利用すれば、かなりの節税になりますし、面倒な事務作業も頑張れると思うので、最後まで要チェックです👍
目次
家族への給料の支払いは原則は経費にならない!!
個人事業というものは、法人と違って、生計が同じ家族なら、みんなで一つの事業をしていると考えます。
よって、奥さんや子供に支払うお金というものは、基本的に必要経費にはなりません。
例えば、子供にちょっと事業を手伝って貰い、お小遣いをあげたからって、そのお小遣いが経費になることはありません。
他にも、奥さん名義の土地と建物で店を出したとします。
その場合に毎月家賃として奥さんにお金を支払っても、経費にはなりませんし、奥さんは家賃収入として申告する必要もありません。
家族へ支払うお金というものは、原則は必要経費にできない。
これが所得税法の大原則ということをまずは頭に入れて下さい!
家族への給料を経費にするには?
そうはいうものの、事業主の仕事だけを手伝ったり、休みなく夜遅くまで働いたりなども多々あると思います。
このように思うのは、当たり前です。
先ほど、原則は家族に支払う給料は経費にならないと説明しましたが、例外規定があります。
それは、青色申告している事業者で、『青色事業専従者給与の届出書』を税務署に提出している場合に限り、家族に支払う給料を全額経費にできるという規定です。
まずは、この例外規定を利用するために必要な条件が4つありますので、順番に見ていきましょう!
条件其の壱 確定申告を『青色申告』でしていること!
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類の申告方法があり、青色申告で確定申告していることが必要です。
簡単に言うと、「普段からしっかりと記録を残している人を税制面で優遇しますよ♪」というものが青色申告というもので、白色申告に比べて、大いに優遇されています。
青色申告するための説明や、メリットなどはこちらの記事をご覧下さい。
条件其の弐 家族が『青色事業専従者』であること!
そもそも、「青色事業専従者給与」とは、家族に手伝ってもらって個人事業を行う場合で、その家族が「青色事業専従者」とみなされた場合に支払う給与のことです。そして、このように事業を手伝ってくれる家族のことを「事業専従者」といいます
『青色事業専従者』には以下の3つの要件があります。
⓵青色申告者と生計を一にする配偶者、その他の親族である
⓶その年の年末時点で年齢が満15歳以上であること
⓷1年を通じて半年以上、専らその事業に従事すること
⓵は、簡単に言うと、事業主と同居してたり、離れて暮らしていても、生活費は事業主から仕送りされているようなケースのことをいいます。
また、親族とは配偶者、6親等内の血族及び、3親等内の姻族です。
⓶は、15歳以上であれば大丈夫です。
⓷は、1年の半分以上は、事業のお手伝いに専念しなければならないということです。ちなみに、学生は原則専従者になることができませんが、夜間学校などに通学し、昼間の事業に支障がでない場合は除きます。
条件其の参 『青色事業専従者給与の届出書』を提出していること!
この届出書を提出しなければ、家族への給料が経費になりません。
*この届出書の書き方はあとで詳しく説明します。
また、この届出書の期限は『青色申告承認申請書』の期限と全く同じです。
その年の3月15日までか、開業してから2ヶ月以内です。
『青色申告承認申請書』の提出がまだ!という人はこちらの記事をご覧ください。
初年度から青色申告するちょっとした裏ワザも紹介しています。
条件其の四 家族への給料は、労務の対価として相当な金額であること!
青色事業専従者給与として認められるには、その給料が多すぎないこと。つまり「労務の対価」として相当である必要があります。
労務に見合わず、過大とされる部分は必要経費として認められません。
例えば、実は簡単な事務作業しかしていない奥さんに対して、年間1000万円の給与を支払っていた場合、税務調査が入れば、 否認される可能性が高くなるということです。
青色事業専従者に支払う給料の額は、任せる仕事内容等で変わってきますが、一般的には専従者給与は月額8万円程度を支払っている場合が多いように思います。
以上が家族への給料を全額経費にする4つの条件です。
どれか一つでも忘れてしまうと、経費にできませんのでご注意下さい!
『青色事業専従者給与の届出書』の書き方!!
届出書は国税庁ホームページからダウンロードできます。
それでは以下の記入例を参考に必要事項を入力していきましょう!
freeeより
①タイトルの「届出」に✔。
②届出を提出する所轄の税務署名を記入します。
③自宅または事業所の住所、そして電話番号を記入します。上記以外の住所がある場合はその下に記入して下さい。
④ 氏名、生年月日を記入します。この時、押印を忘れないようにしましょう。
⑤事業の内容を記入します。(例)建設業・運送業・小売業など
⑥屋号がある場合には、その名称を記入します。
⑦ 適用を受ける年月日を記入し、「定めた」に✔。
⑧専従者について記入します。
・氏名、続柄、年齢、その仕事の経験年数
・仕事内容
・給与の支給時期や金額、昇給の基準
※給与の金額は、記入した額より多く払うことはできませんが、少なく支払うのは可能です。また、後から変更することはできますが、再度変更届を提出しなければなりません。
⑨ ほかに従業員がいる場合には、その概要を記入します。
この時、従業員への給与と専従者への給与について、差が大きすぎないように注意しましょう。
特に記載する事項がなければ、空欄のままでも結構です。
この「青色事業専従者給与に関する届出書」を記入する際に、一番迷う部分が専従者に支払う給与の金額だと思います。
この時、相場からかけ離れた多額の給与を設定して、必要経費をたくさん増やして税金を減らそうとする人がいますが、これはダメです。
基本的には、他に従業員がいればその金額と合わせるのいいのですが、他に従業員がいない場合には、「源泉徴収の事務が発生するか否か」「保険の扶養」「住民税」で検討するのが良いのではないでしょうか?
家族といえども給与を支払います。
給与を支払うということは、支払う側は所得税を天引きする源泉徴収という事務が発生しますし、受け取る家族はその給料が収入となります。
ただ、月額8万8,000円未満なら所得税がかからないので、源泉徴収に関する事務はしなくてもよくなります。
また、保険の扶養は基本的に年間収入130万円以下で、住民税は自治体にもよりますが、年間100万円を超えるとかかってくることが多いです
このようなことを考慮すると、先ほどの条件その四でも述べましたが、開業初期のころは、ひとまず専従者の給与を、年収100万円以下(月額8万程度)に設定しておく方が良いのではないかと個人的に思います。
*あくまで、個人の見解です。事業規模や専従者の事業内容によっては違った金額の方が良い場合がもちろんあります。
青色事業専従者の注意点!?
この制度を利用する際には、1つ大きな注意点があります。
それは、家族を専従者として給料を支払うと、配偶者控除や扶養控除を受けられなくなるということです。
つまり、配偶者を青色事業専従者にすると、配偶者控除の38万円が受けられません。
そのため、青色事業専従者給与を用いる場合、年間の給与が38万円以下の場合には、活用しない方が得と言えます。
ただ、先ほどからお伝えしている月額8万円であれば、年間96万円の経費になりますので、96万円-38万円=58万円分がより節税になります!
白色申告の場合は!?
白色申告の場合は、青色申告のように全額経費にはできませんが、白色申告では上限つきの金額を「必要経費とみなす」という微妙な扱いになっています。
微妙な扱いになっていますが、税金を少なくする効果はあるので、経費と思って頂いてもかまいません!
また、青色とは違い、控除額には上限があります。
事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円。
配偶者でなければ専従者一人につき50万円です。
計算結果がこの上限額を超える場合は、この上限額が控除額になります。
白色事業専従者控除額の計算例と上限
【具体例1】
収入500万円 経費350万円 専従者1人(奥さん)の場合
300万 − 150万 = 150万(事業所得等)
150万 ÷ (1 + 1) = 75万円
この場合の専従者控除額は75万円になります。
【具体例2】
収入700万円 経費400万円 専従者1人(奥さん)の場合
700万 − 400万 = 300万(事業所得等)
300万 ÷ (1 + 1) = 150万
この場合は、上限の86万円を超えているので、控除額は86万円になります。
例えば、【具体例2】の場合で、専従者が配偶者ではなく、事業主の子供だとします。
この場合には、控除額が50万円になります。(配偶者でなければ専従者一人につき50万円です)
白色事業専従者控除額の注意点
これは、青色の時と同じで、専従者控除を適用するのであれば、配偶者控除や扶養控除を受けられなくなるということです。
どうしても白色申告で楽したいという方へ
このように白色申告でも、控除額があるものの、青色申告の方が大いに節税効果があることが分かったと思います。
ただ、やっぱりそれでも、色々届出書などの提出が面倒で白色申告にするという方に、最強の手助けアイテムを教えます。
それは、『弥生の会計ソフト』を利用することです。
白色申告であれば、全ての機能が永年無料で利用できます。
また、日々の記録も、クレジットカードや銀行と連携すれば、自動で入力してくれるので、事務の負担が少なくなります。
一度試してみてはいかがでしょうか?
個人事業主は今すぐ青色申告!!
もう何度も聞き飽きたかもしれませんが、確定申告するなら断然青色申告にするべきです。
先ほども載せましたが、こちらの記事を是非一度読んでください!
青色申告のメリットを事細かに紹介しています。
それだけでなく、今まで、会計や簿記の勉強なんかしてこなくて税金もよく分からないという人も何の心配もありません!
専門知識が一切ない初心者の方でも、簡単に帳簿作成できますのでご安心下さい。
今回は、青色申告であれば家族への給与が経費になることをご紹介しました。
これからも、様々な節税方法などをご紹介しますので、よろしくお願いします。